失敗が存在しないアート油絵の魅力
油絵と聞くと、美術館に飾られている名画や、美大生が描く本格的な絵画をイメージして、敷居が高い難しそうと敬遠してしまう方は少なくありません。
しかし、実は油絵こそ、絵を描くことに慣れていない初心者に推奨したいアートの一つです。
水彩画やアクリル画との最大の違いは、その乾燥の遅さと隠蔽力にあります。
水彩画は一度紙に色が染み込んでしまうと修正が困難ですが、油絵は絵具が乾くまでに数日かかるため、気に入らない箇所があれば布で拭き取ったり、ナイフで削ぎ落としたりすることが容易です。
また、乾いた上から新しい色を重ねれば、下のアートを完全に覆い隠して修正することも可能です。
間違えたらどうしようというプレッシャーから解放され、納得がいくまで何度でもキャンバスに向き合えること。
これが油絵の最大の魅力であり、自分のペースでじっくりと作品を作り上げたい人に愛される理由です。
塗り重ねることで生まれる独特のマチエール(凹凸)や、油彩ならではの濡れたようなツヤと深みのある発色は、簡単な静物を描いただけでも、まるでプロの作品のような重厚感を醸し出してくれます。
油絵を趣味にする際のポイント
少ない道具と水可溶性油絵具で手軽にスタート
油絵を始めるために、必ずしも広いアトリエや巨大なイーゼルが必要なわけではありません。
最近では、卓上で描ける小さなキャンバスや、独特の溶剤の匂いを抑えた水可溶性油絵具も普及しており、自宅のリビングでも気軽に楽しめるようになっています。
最初はたくさんの色のチューブを揃える必要もありません。
赤、青、黄の三原色に白を加えた数本があれば、パレットの上で混ぜ合わせることで無限の色を作り出せます。
チューブから出したままの色ではなく、自分の手で練り上げた自分だけの色を見つける実験のような時間は、童心に帰るようなワクワク感を与えてくれます。
未完成のまま部屋に飾る愉しみ
油絵は、完成までに長い時間を要するスローな趣味です。
一層塗ったら数日間乾かし、またその上に薄く溶いた絵具を重ねてニュアンスを変えていく。
この工程は、即時性が求められる現代において、非常に贅沢な時間の使い方といえます。
今日描いた部分が乾くのを待つ間、キャンバスをイーゼルに立てかけたまま部屋に飾り、次はどんな色を乗せようかとコーヒーを飲みながら眺める時間も、制作の一部です。
あえて具体的な対象物を描かず、その日の気分のままに色を乗せていくだけの抽象画でも構いません。
自分の内面にある感情を色として吐き出し、塗り込めていく作業は、言葉にできないモヤモヤを浄化するセラピーのような効果も期待できます。
完成した作品は、100年経っても色褪せない堅牢さを持っています。
今の自分の感性を閉じ込めた一枚は、未来の自分への素敵な贈り物になるでしょう。
