寺院

香りを聞き分ける香道

香道とは

心地よい芳香をもつ香木をたき、立ち上がる香気を鑑賞する芸道です。
香道では香りを「かぐ」ではなく「聞く」と表現します。

香道で使われる道具について

香木

香木という種類の木なく、樹木より採れる香料全般のことをさし、主に伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)、沈香(じんこう)を指します。
沈香の中でも最上品のものを伽羅といいます。生成に時間がかかるため、産出量が少なく希少な香木です。
白檀はインドやインドネシアなどで産出される香木です。芯材に含まれる精油が芳香をもっているため、常温でも香りがします。
沈香は東南アジア全域に産出する香木です。常温ではあまり香らず、過熱して香りを楽しみます。

香木は自然に枯れた木や、バクテリアによって朽ちた木の樹脂が土に埋もれている間、香気が沈着していったものです。
香木は貴重なので必要最低限に切ってたきます。すぐに燃えてしまわないように火種と香木の間に銀葉といわれる雲母の板をはさみ、熱を均一にして香気を鑑賞します。

香炉

香木を加熱して香気を発散させるための器です。道具としてではなく、香炉そのものが芸術品として扱われます。

火道具

香道で用いられる7つ道具の総称です。香炉の上に香木をのせる香匙(こうすくい)、灰を掃除する羽箒(はぼうき)、香炉の灰を整える灰押さえなどがあります。

香道の楽しみ方

聞香(もんこう)

香をたき、香りを聞くことを聞香といいます。シンプルな楽しみ方で茶道のような作法があります。香炉を左手にのせて右手で香炉の上を覆うように香りを聞きます。

組香(くみこう)

それぞれの香りを聞いて味わって楽しむ会です。
何種類かの香木を用意して、ひと欠片ずつ香包(こうづつみ)に包みます。
どれがどの香なのか分からない状態でたいていき、参加者は香炉を回しながら香の種類を用紙に記入して提出し、最後に答え合わせを行う流れです。

香道の歴史

日本書紀によると595年に淡路島に香木が漂着したといわれています。
香木はインドや中国から仏教とともに伝来しました。
奈良時代は寺院で香がたかれていて、宗教的な意味合いが強かったのですが、平安時代になると香りを楽しむために貴族の間で流行したそうです。
鎌倉時代になると香を楽しむだけではなく禅の要素も加わり、現代の香道につながったといわれています。
江戸時代に入ると庶民にも広がり、香道は教養の一つとして数えられるようになりました。


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